【大相撲ブログ】平成30年5月場所の感想 ~ 鶴竜時代の幕開けか

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阿炎のイラスト
夏場所(平成30年)が終わったので感想を書いてみたいと思います。

今場所は、大関昇進がかかった栃ノ心が、期待通り白星を重ね、無事昇進をきめると言う、願ってもない展開となりました。その陰で、大関がすべて休場し千秋楽に誰もいないという、上位陣の層の薄さが、少し、気になる場所でもありました。

 

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全体の感想

場所の結果

幕内優勝 東横綱 鶴竜 14勝1敗
技能賞 東関脇 栃ノ心 13勝2敗
殊勲賞 東2枚目 松鳳山 8勝7敗
敢闘賞 東関脇
西11枚目
西15枚目
栃ノ心
千代の国
旭大星
13勝2敗
12勝3敗
10勝5敗
十両優勝 西筆頭 阿武咲 12勝3敗

今場所の番付と結果を見て最初に思ったのは、部屋の浮き沈みの激しさです。

数年前、横綱と大関を輩出し、飛ぶ鳥を落とす勢いだった田子ノ浦部屋の2人の力士、稀勢の里高安は、共に休場し、一人は、力士生命の危機に瀕しています。更に、伊勢ヶ浜部屋の元大関の照ノ富士は、今場所十両下位で途中休場して負け越しとなり、幕下陥落が決定的になりました。この伊勢ヶ浜部屋も、少し前は、横綱の日馬富士、大関になる照ノ富士がともに優勝し、さらに、その下の三役の常連に、宝富士安美錦とまさに栄華を誇っていました。しかしながら、今は、日馬富士はあの一件をきっかけに引退し、照ノ富士も力士を続けるのも困難ではないかと思えるほどです。また、高齢力士として新境地を切り開いた安美錦もさすがに限界が近く、一人残された宝富士も一時の勢いはありません。

上位力士が軒並み高齢となり、世代交代とともに、ダイナミックに勢力図が変わっている相撲界から今後も目が離せません。それでは、今場所、気になったお相撲さんの印象を書いてみます。

気になった力士

序の口

納谷(東11枚目、6勝1敗)

前相撲から順調に勝ち続けていましたが、とうとう、番付の関係で、三段目の力士と当たって負けてしまいました。数日前の相撲辺りから、立ち合いがしっくりいかず、力でねじ伏せたような取り組みが気になっていましたが、意外に早い段階で負けてしまったという印象です。

連日、異常な注目を浴びる中、間違いなく、自分より力の落ちる相手に対して、納得する相撲を取り切るという事は、そう簡単ではないのかもしれません。今場所、豊昇龍序二段優勝したことで、まだまだ、2人のライバル関係は続きそうです。

幕内

鶴竜(東横綱、14勝 1負、※幕内最高優勝)

順調に勝ち星を拾っていき、見事優勝を果たしました。後半にピークを持ってくるあたり、さすが横綱としか言いようがありません。先場所の優勝を自信にし、今場所は15日間をトータルマネージメントした感さえあります。今までの流れから、休憩の場所になるのではと思っていましたが、大きく読み違えていたようです。m(_ _)m

栃ノ心の大活躍の陰に隠れていますが、実は、今、一番の成長を遂げたのは鶴竜なのかもしれません。常に地味で、おそらく、日本人で彼を中心に相撲を見ている人など、失礼ながら、ほとんどいないのではと思ってしまいますが、横綱に上がった時も、稀勢の里に注目が集まる中、まるで、その隙を突くようにさらっと先に昇進を決めてしまいました。

その後、ずっと、横綱として十分な活躍が出来ずにいましたが、一人横綱で途中まで頑張りながら後半崩れた先々場所の教訓を生かし、再び一人横綱となった先場所ついに優勝を遂げ、更に、今場所、連覇まで達成したことを考えれば、もう、文句の付けようがない立派な横綱です。以前、4横綱と言う歪な構成は、割と早く崩れ去るのではと書きましたが、意外にも、最後まで残るのは鶴竜なのでしょうか。

そして、彼以上に安定感のある力士は今のところいないので、先場所と今場所の優勝は、しばらく、続く「鶴竜時代」の始まりとなるのかもしれません。

白鵬(西横綱、11勝4負)

あれほど注意されたせいか、さすがに、張り手からのかち上げのコンボは、今場所は見られませんでした。いつもの癖で、何番か張り差しは出てしまいましたが。

今場所印象に残ったのは、栃ノ心逸ノ城に右四つから力負けした相撲です。ちょっと衝撃的でした。ただ、これが衰えや怪我の影響から来るものなのか、立ち合いを制限されたせいなのか、はたまた、休場明けのせいなのかはわかりません。いままで休場明けは、休養十分で好成績でしたが、さすがに初めての2場所連続休場の後だけに、スタミナ等が戻っていなかった可能性も考えられます。それでも、相撲勘が戻らない序盤の危ない相撲を、持ち前の相撲度胸と勝負強さで乗り越えて最後まで優勝争いをしたのは立派と言う他は有りません。(きっと、根っから勝負や戦いが好きなのでしょうね。その辺りが他の人とは違います。)
ただ、今後、体調が万全に戻ることは、ちょっと考えづらく、正攻法の立ち合いを強制された状態で、どうなるかと言ったところでしょうか。

また、余談ですが、彼の土俵入りって、かなり、独自の解釈が入ってますよね。手の広げ方などにモンゴル相撲の鷹の舞のポーズを連想してしまうのは私だけでしょうか。ただ、彼ほどたくさん土俵入りをした人もいないので、さすがに、飽きがきて、原型から変えてみたくなるのも、ちょっとわかる気もします。言ってみれば、ベテラン歌手が、昔の持ち歌にアレンジを加えるようなものなのかもしれません。

栃ノ心(西関脇、13勝2負)

初日から順調に勝ち星を重ね優勝こそ逃しましたが、見事大関昇進を決めました。ただ、さすがに前半から飛ばしすぎたせいか、最後に少し失速はしてしまいました。今後、この強さのまま、果たして、横綱まで行けるでしょうか。相撲では、時々、年を取ってから覚醒する人(古くは琴櫻、その後、三重ノ海、隆の里、など)がいますが、ここまで遅く大関になった人はいないので、もし、なれたらすごいことですね。

逸ノ城(西関脇、8勝7負)

今後の相撲界を牽引することが期待される一人ですが、今場所も時折、昔の弱い姿を見せてしまいました。ただ、勝った相撲は、確実に成長を感じさせるものがあり、いずれ、彼の体と力を完全に生かし切る相撲を完成させた時の事を想像すると、末恐ろしさを感じます。

阿炎(西前頭2枚目、7勝8負)

十両で初めて見た時に、その風貌や取り口から、将来、親方の錣山(元寺尾)同様に全国区の人気になるかもしれないと予想しましたが、ずっと早く、アッという間に人気力士になってしまいました。ただ、勝ち星を優先するあまり、時々見せる立ち合いの変化には、体格的にやむを得ないかもしれませんが、ちょっと残念に感じてしまう時もあります。大関など上は目指さずに、個性派人気力士として、今後、生きていくのであれば、この取り口もありな気がしますが … 。

錣山親方(番外)

また、力士ではありませんが、ある日の解説に来ていた錣山親方(元寺尾)も印象に残りました。師匠としての一面を見せつつ、阿炎を一人の力士として、客観的に、面白おかしく、上手に解説していました。貴乃花親方にはできそうもないことです。

彼は、現役時代まったくしゃべらない人、という印象が強かっただけに、ちょっとびっくりしました。以前、外国巡業に行って、向こうの女性が寺尾のファンという事で呼ばれた際、一言も話さず、なんとまあ愛想のない人と思った事があったのですが、あれは、現役だったので、力士「寺尾」を演じていたのかもしれませんね。現状を見ると、今後は、解説などの喋りも行けそうです。

ちなみに、このように現役時代は愛想が悪くて、引退して解説者になった途端に、一転して饒舌になる人っていますね。現役中はサムライと呼ばれ、常に苦虫を嚙み潰したような顔していた元広島の前田選手が、ニュースステーションで色々な演出をしているのはびっくりですし、卓球の平野早矢香)選手やテニスの沢松選手なども現役の頃は仏頂面で笑った顔を見たこともなかったのに、解説になると、大げさなくらいよくしゃべるので、時々ついていけなくなる時があります。

遠藤(西小結、3勝10負2休)

怪我をするまでは良い相撲で、今場所の健闘が期待されましたが、その後、休場し、再出場後は、勝つことなく終わってしまいました。

否が応でも盛り上がる最後の大関・横綱の取り組みを除いて、昔から平幕でありながら、常に同じくらいの盛り上がりを見せていたのが遠藤の一番でした。ひとえに彼の素人目に見てもうまいと思わせる取り口、見た目の美しさ、立ち合いを含めた所作に表れる相撲に対する姿勢など、ファンを引き付ける要素を沢山持っているためと思っています。八百長問題でどん底に落ちた大相撲の人気を、ここまで回復させるきっかけを作った人であり、未だに、彼以上の人気力士は出てきていないと、自分では思っています。(他に強いて言うなら、稀勢の里くらいでしょうか)

そんな彼が、三役となり連日上位力士と互角に取り組みを繰り広げたら、まるで若貴の全盛期のように、どんなに毎日盛り上がるだろうかと、ずっと夢見ていました。そして、今場所ついにそれが現実となりました。予想通り、沢山の懸賞が回るたびにどよめきが起こる、まさに、夢のような時間が到来しました。

しかし、そんな夢の時間は長くは続かず、中日を待たずに終了してしまいました。彼の怪我が古傷の足の方では無かったのは不幸中の幸いですが、三役以上の本当に強い力士と本気でぶつかり合うには、もっと強い体が必要なのかもしれません。そして、苦手としている一気の馬力相撲にも対応できる力が付いた時、さらに上が見えてくる気がします。

 

以上、今日は、夏場所(平成30年)の感想を書いてみました。

 

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